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世界の一般的あり方

第一編 序論

***** 状況説明 I *****
 この文章(世界観)を書き(読み)始める。この状況を確認する。
蛇足7

注1

【主観】
 最も一般的に考えたり、書いたり、話たり、「なにか」について先ず言える ことは、「私」と「他」である。

注2

蛇足8

注3

蛇足9

注4

 この関係は「私」にとっては絶対的である。この「私」の立場が主観である。

【主体と客体】
 「主観」のつぎに言えるのは「私」と「他」が関係していることである。関 係全体がどの様なものか、どの様な関係であるかについては、この関係からは 何も言えない。しかし、この関係にあって「私」は「他」と相互に働きかけ合 っている。

注5

 「他」に働きかけ、「他」から働きかけられる関係が世界である。
 この「他」と相互に働きかけ合う「私」の立場が主体である。「私」に対す る「他」が客体である。

注6

注7

【世界観】
 主体と客体の相互作用の成果物として、主観の内に世界観がえられる。世界 観は主体と客体との相互作用の結果の蓄積、集積である。主体と客体の相互作 用関係の主観としての生成物が世界観である。主体と客体の関係を主観の内に 取り込んだものが世界観である。

【真理】
 主体と客体の相互作用の関係を、主観がどの様に解釈するかによって世界観、 そして哲学の基本的な分類がなされる。
 どの世界観、哲学が正しいかの判定基準は、主体と客体の相互作用と主観に おける「他」との関係が一致しているかによる。これが真理の評価基準である。
 「真理」は「他」として存在するものではない。客体とそれに対応する主観 が一致していることが「真理」である。

注8

【実践】
 主体は客体となんら区別されたものでなく、客体の一部分である。
 主体は客体の内にあって、他から自らを区別することによって生成される。 客体の中にあって相互作用し、相互作用によって他から主体を区別するのが 「実践」である。

注9

【世界観の要点】
 この世界観では、次の4つの要点を明らかにしなくてはならない。
 1.存在  客体=実体はどのようなものであるか
 2.論理  客体=実体の中での主体、主観の位置づけ
 3.実践  主観、主体の客体化=実体変革
 4.認識  客体の主観内への取り込み。主体の認識方法
 この4つの要素は形式的には区分できるが、それぞれの内容、ありようは切 り離すことはできない。相互に規定し合い一体のものとしてある。それぞれの 根拠、本質は互いに前提しあっていて相互依存関係にある。それぞれに相補的 である。
 一応各々を主要な問題として順番に取り上げるが、その中でも互いに関連し 合っており、繰り返し、繰り返し相互の関係が問題となる。

【世界観の筋道】
 主観から対象へ向かい、主体を通して主観の理解にたちもどる筋道は取らな い。結果である主観から逆に、その生成過程をたどることは論理的ではない。 そうした人の成長過程とおなじ筋道は、無限の多様性からの出発であり、体系 的であることができない。 論理は物事の発展過程を順にたどり、説明は演繹的でなければならないから。
 主観は人各々の有り様であり、主観どうし人々は時に敵対するものでもある。

 そして、これは世界観である。個別の分化された科学そのものではない。全 体である世界を、部分である主観がその内に再構成した結果としての世界であ る。当然諸科学の成果の上に立っていなければならない。しかし、科学自体の 到達点としての歴史的制約があり、世界観を扱う個人の問題として社会的、能 力的制約がある。誤りがないことは不可能としてよいだろう。
 問題は個人が扱う世界をより正しくとらえようとすることである。そこで、 主観独自の存在があることにも注意しなければならない。すべてが客観的な存 在ではない。
注10
 主体、客体、主観の区別、区別の始まり、対象の全体から区別される部分と、 その区別の発展過程を、世界の過程として辿る。

【世界観の主観への受け入れ】
 世界観は主体、主観に世界を受け入れる手続き、形式をまず定め、受け入れ ることをその内容とする。世界のすべて、世界の全体を受け入れる概念、及び それを意味、指示する「ことば」を用意する。
 世界のすべて、全体を受け入れる際の問題を整理することが、受け入れ手続 き、世界観の形式を定めることである。
 世界の中にあって、主体、主観に世界のすべて、全体を受け入れても、受け 入れた中身は不十分である。受け入れは主体、主観の手続きであって、世界の 存在の手続きではない。世界の中の一部分の手続きである。世界のすべてを受 け入れても、受け入れた主体、主観にはそれ以外の圧倒的世界がある。
 世界観は受け入れ手続きの後に膨大な世界の物事の受け入れを続ける。世界 のすべてを受け入れることが不可能でも、あまねく、偏ることなく、必要な物 事はすべて受け入れ整理しなくてはならない。
 世界の受け入れはその端緒に過ぎない。ひき続き世界とその全体と、受け入 れた世界概念の対応関係を、緊張させておかねばならない。生きる実践と世界 観の実践として、両実践を一体とする主体として、現実を変革し緊張を維持し なくてはならない。


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