世界観の組立を一段落させて、冊子版
「哲学の一般教養 二元世界 素朴実在に特異点である私を位置づける二元論」
出版状況
率直な意見として、お書きになられたものがどれだけ読んでもらえるのだろうかと心配になります。かなり以前から、正確には1960年代以降構造主義が一般に認められたその頃から、すべてを見渡す「神の座」(劇場のロイヤルボックスにもたとえられますが)が否定されて、各個人がその意識のなかで自分を取り巻く客観的世界とどのように切り結んで世界像を築き上げ、またそこから共通の「世界観」を作り上げることができるのか、というような問題構成が前面に出てきました。 これは唯物論者、あるいはその研究者の場合も同様で、「主客二元論」は過去の、十九世紀の遺物と考える人が大部分です。そしてとくにソ連崩壊以降は「認識論」を回避する傾向も強まっています。そういう中で、市川さんのお書きになられたものは単なる独断論と受け取られる可能性が大きいように思います。これが杞憂であれが良いのですが… わたしは18世紀の思想史、哲学史をかじっているだけの人間ですが、基本的な認識の枠組みは二元的にならざるをえないと思っています。しかし、「私」と「世界「の関わりの多様性から、どう世界について客観的な共通理解を作り上げていくか、という点では、今大きな困難があると思っています。 |