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第一編 物質の構造

 物質の構造は基本的に物理学の課題である。現代物理学は宇宙の起源、実在、 時間といった存在についての基本的ことがらをも対象としている。しかし、物 質の構造は物理学だけの課題ではない。物理学、化学、生物学、そして人間存 在にかかわる。
 物質とは何か。実在とは何か。この問いは客観的な問題でも、客体の問題で はない。問題の存在自体が認識の問題であり、主観の問題である。物理学だけ で答えられる問題ではない。哲学を切り捨てて物理過程に限っても世界を理解 することはできない。「理解すること」そのことは単なる物理過程ではない。
 日常生活でも出会う様々な物理現象を、科学的に理解するためには物理学の 基本的知識が必要である。個々の物理現象を科学的に理解するだけではなく、 物理現象の全体、世界の物理過程の構造を理解しなくては、世界を正しく理解 することはできない。物理学を切り捨てた哲学で、世界を理解することはでき ない。
 また、環境問題は社会構造の問題でもあるが、それぞれの個人の物質循環へ の関わりの理解なくして解決への取り組みはできない。
 物理学実験で次々と発見される現象に名前をつけ、それを記憶しても物理が 解ったことにはならない。物理的世界の基本的な運動から、世界全体の運動ま でを統一的に理解できて、それぞれの実在、もののあり方が理解される。

 原子間の相互作用、分子間の相互作用、そして電子等の素粒子を含め、物質 の基本構成要素間の相互作用がある。それらは、環境条件によって特殊な形態 をとる。それらは、宇宙の物質の普遍的存在形態ではない。銀河あるいは恒星、 惑星等の特殊な条件、環境でのあり方である。
 物質の構造は物質の存在形態、すなわち、運動と切り放すことはできない。 しかし、物質の存在形態は物質構造からは独立した存在形態もある。生命、社 会、文化は物質の運動を媒体として、物理的運動形態からは独立した運動の方 向、構造をもっている。

注6


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