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人格、愛、理想などはやらない時代になった。
人間的に生きる努力をしたから、人間的な環境で人間らしく生きられるとい うことにはない。より人間的な生き方が人間の格をつくったはずなのに。平等 な人間を引き裂き人間の格差をつくりだす。
しかし、人格など求めるものでなく、結果である。
自分が見失われたとして一人になることを求める人もいる。しかし、孤立す ることは人格の陶冶の環境ではない。
人間は人間社会の内に生まれ、内で人間に育ち、生き、人間社会に働きかけ て生活する。自分は人間関係の中に実現していく存在である。人間を好きにな るか、嫌いになるかの好みの問題ではない。その中で自分を守り、変革し、存 在する。
あっけなく事故で死ぬかもしれない。自分の存在を許さぬ人の中に放り込ま れるかもしれない。個人の日常などわずかな社会的変動で、自然の力で消し去 られる。
その日常も単調であるようでいて、繰り返しではない。自然も、社会も、自 分自身も常に変わっている。
日常の中でも疲れるのは当たり前のことである。疲れないようにし、疲れた ら休む。
誤りを犯すのも当たり前のことである。誤りの中から見い出すのが真実であ る。誤ってしまったら速やかに取り戻す。
迷うことも当たり前のことである。現実に対立があり、対立の中に組み込ま れていて悩まないわけがない。
疲れず、誤らず、迷わない人間などいない。完成され、固定した人間は生き ていられない。
すべてを許し、すべてを愛することはできない。すべての肯定は何も肯定も、 否定もしないことである。
感情を抑えることはない。豊かな感情を育てる。
欲望を抑えることはない。空間的に、時間的に、肉体的に、精神的に限りあ る自分の資源で実現できる欲望を選択する。
心身の健康をつくる。肉体的にも、精神的にも人間の目標は意識的に作り出 し、実現するため生きる。
待つことなく進み、生活することである。世界を知り、理解する。価値を見 い出し、方向を見い出す。生物的能力によって限定されない人間の能力として。
自分を見つめ、自分を鍛えることは、自分を実現することである。他との関 係に自らを位置づけ、他の存在を自らに取り込み、他との関係を自らの関係と して、自らをその他との関係の内につくりだし続ける。
なすべきことを明確にし、集中し、継続する。
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