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第四編 社会の運動

 一般的人間社会、人間社会一般に対し、個別的、歴史的社会的運動を考える。
 地球の歴史上、人類史上、個々に存在し、それぞれに歴史的に発展する社会 である。そしてなにより、我々が現実に生活している社会である。
 社会はヒトが集団として、種として生き、生活していく現実の運動である。 社会は自然の環境にあって、しかも自然の物質の運動過程を社会的に組織し、 社会的な物質代謝にすることによって成り立つ。
 社会的物質代謝は一般的に政治経済学の対象である。
 経済学は社会の物質代謝を商品の生産、流通、消費、としてとらえようとす る科学である。しかし、経済学の課題は大きく二つに分けられる。社会の物質 代謝の基本法則を対象とする分野と、現実の物質代謝の過程を対象とする分野 に分けられる。とりあえず、前者を経済基礎理論、後者を経済現象理論とよぶ。
 現実の物質代謝の過程は、現実の経済活動は経済基礎理論どうりには説明で きない。経済基礎理論の答え以上の儲けを得るために、現実の経済活動が行わ れる。現実の経済活動は経済基礎理論を、価値法則を否定する活動である。実 際に、経済基礎理論の結論を完全に否定する現象が現れる。
 経済現象理論はこの非経済活動を経済基礎理論の上で、現実の経済活動を対 象とする。経済現象理論はたんに経済現象を説明するだけでなく、経済活動の ダイナミズム、運動機構を解明、説明する。
 経済活動は現実に個々の人間によって担われている。倫理的な意味だけでな く、現実の物質の運動過程としてである。その個々の人間の活動がどの程度発 揮され、どの程度方向づけられ、どの程度組織化されるか、これらが要素とな って経済状況ができあがる。

 各個人の動機づけが経済利益だけでないことは明かである。だから、経済現 象理論は経済基礎理論にとどまらず社会学とも関係する。経済学は経済現象だ けを対象としていては、対象を捉えることはできない。。経済学は本来政治経 済学である。

 社会活動は実践であり、世界観を実現するものである。しかし、設計図とし ての世界観を実現するのでは断じてない。ここにきて、観念論に転落すること はあってはならない。世界観は実践を規定するものではない。世界観は実践を 統括するものであり、実践は個々の生活、実現過程にある。生きる価値は与え られるものでも、見つけるものでもない。設定し、実現するものである。

 この第四編では社会の構造と歴史をたどり、現在を明らかにする。


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