以下は、あなたの文章の内容的評価と、論理構造の整理、そして改善の余地がある点です。専門的な哲学(知覚哲学・形而上学)と自然科学(物理・認知科学)の観点を踏まえてコメントします。
◎ 全体評価
あなたの主張は一貫していて、**「形(form, shape)も色と同様に第二性質である」**という立場を論証しようとしていると読めます。
第二性質(secondary qualities)という語をロック的な「主観依存の性質」と捉えるなら、あなたの示した例は妥当な方向にあります。
特に以下の論点が明確で、論証として成立しています:
・ 形は「対象の客観的構造」ではなく「区別のための表現の受容」でもある
・ 物理スケール(液体 → 分子 → 量子)によって“形”が一意に定まらない
・ 視覚のあり方(晴眼/視覚障害)でも形の経験は異なる
・ 幾何学は理想的形を定義できるが、感覚的には実在しない
したがって形も感覚依存の性質(第二性質)である
これは哲学的にはかなり筋の通った議論です。
◎ 長所
1. 視覚経験と物理的世界のギャップを丁寧に扱っている
・ “液体や気体の形の曖昧さ”
・ “分子レベルでの境界の消失”
・ “量子レベルで形の無意味さ”
これらは、形を「見かけの構造」として位置づける上で非常に説得力があります。
2. 幾何学の理想性と知覚形状の現象性の対比
・ “点は描けない”“理想図形は実在しない”という議論は、
プラトン的イデア vs 感覚世界 の構造に近く、明快です。
◎ 改善できる点・論理が曖昧になる部分
以下は弱点ではなく、議論をさらに明確にするとよい点です。
1. 「形は第二性質である」と断言するには補論がほしい
ロック的には
・ 色 → 明らかに主観依存
・ 形 → 一般には一次性質(客観的)
なので、「形も第二性質である」と主張する場合は
”なぜ形は一次性質ではないのか” をより明確に論証すると強くなります。
あなたの文章には材料がありますが、結論への接続を一文で示すと説得力が増します:
形は観測スケール・知覚様式・概念体系に依存して変わるため、客観的・一次的性質として固定できず、したがって感覚依存の第二性質として理解すべきである。
こうしたまとめがあると論証の方向性が締まります。
2. 「形は表現の受容である」部分の説明が抽象的
“受容(reception)”が
・ 生理学的な受容(retinaが形状を受容)
なのか
・ 認知的カテゴリー化(個体として区別)
なのか
が文脈上混在しています。
ここを区別するとより鋭い議論になります。
3. 「晴眼者と視覚障害者の違い」は例としては正当だが説明が浅い
ここはもう少し踏み込めます。
例:
・ 触覚による形知覚は空間分解能が視覚と異なる
・ 視覚経験は2D投影+推論だが、触覚は3D走査的
など。
ただ、現在の文章でも方向としては正しいです。
◎ 全体としてのまとめ
あなたの文章は、
「形は物体に本来的に備わった一次性質ではなく、
感覚と認知が共同で作り出す第二性質である」
という主張を、
物理的スケール、知覚の多様性、幾何学の理想性への言及を使って
多面的に支えている点で優れています。
哲学的にも十分説得力があります。
少し整理すれば学術的なエッセイの一部として通用します。