ビッグバン宇宙論ではこの宇宙は高温高圧で何ら差異、区別のない点から始まったとされます。
秩序が秩序だけであるなら、秩序は唯一性、絶対性、純粋性です。
他がありえない唯一性です。
否定しようのない絶対性です。
混じりけの無い純粋性です。
秩序は混沌に対立します。
熱力学の第二法則* は、閉じた世界ではエントロピーが増大化し、秩序が破れて混沌化するするとします。
一方宇宙は素粒子、原子核、原子、分子、細胞、多細胞生物、そして意識する人間へと秩序を発展させてきました。
生命はネゲントロピー、負のエントロピーを取り入れて自らの存在秩序を実現し、生じたエントロピーを排泄しています。
全体秩序が失われ混沌化しながら部分秩序が創発する矛盾が秩序にあります。
秩序は自らを否定して混沌化する秩序でもあります。
これは存在秩序です。
個別秩序は変化に対する保存です。
全体の無秩序化にあって部分に個別秩序を創発します。
個別秩序は部分秩序として、他と区別される物事を表現します。
非平衡開放系として、閉じた平衡系を実現します。
変化、変換に対する不変性、保存性は対称性です。
数学での対称性は何らかに変換に対する不変な性質です。
物理学のネータの定理では逆に、変化に対称性があればそこに保存量を見出します。
恒存性、恒常性、安定性です。平衡
秩序の論理的表現が法則です。
秩序の理解は世界の理解であり、当分理解しきれません。
人類は秩序の実現の普遍性、再現性を記憶し、記録して法則として表現してきました。
経験則から科学法則へと認識を深め、拡げてきました。
理解しきれないまでも、このように言葉で表現します。
人によって秩序の理解も異なることでしょう。
秩序を見出し、利用し、再生し、創造して人間は生きます。
人間は悪知恵すら発揮します。
秩序は存在の実現です。
存在は秩序を実現します。
「実現」の前は、あるいは「実現」しなければ「無」あるいは「空」との仏教的解釈が成り立ちます。
秩序は個々、個別の存在として実現し、特定の対象として表現されます。
個別の存在は他から区別される関係秩序です。
特定の対象として捉えられるのは他から区別できる秩序として関係するからです。
他との関係に対称性があって存在する保存量は秩序の表現です。
秩序は漠然とした形式ではなく、確固として他と区別される関係にある存在、対象として実現します。
すべての形ある存在、対象は秩序の表れです。
形そのものが秩序の表現です。
対象は他との関係で区別される秩序の表現です。
秩序がなければ不定の混沌です。
ただし、人はすべての秩序を理解できません。
科学がこれほど進歩した今日でも、基本的秩序も、複雑な秩序も理解できていません。
物質の基礎をなす量子のもつれも、生命を実現している生化学平衡系も未解明です。
社会関係でも、秩序を無視した勝手な取引による恐慌があっても、社会的物質代謝秩序は維持されています。
秩序は発展し、階層をなします。
大きく物理秩序、生命秩序、社会秩序、文化秩序の階層があります。
さらに物理では四つの基本的力が分化してそれぞれの秩序を実現しているとされ、素粒子、原子、分子の階層があります。
生命では非平衡開放系としての物質代謝系を基礎に進化し、多細胞生物には細胞、組織、器官、個体の階層もあります。
相互作用の秩序として基礎から発展して入れ子構造をなす階層があります。
秩序を見出すことが理解することです。
秩序の理解の論理による表現が法則です。
法則による対象の説明が理論です。
法則を利用して物事を創りだし、実現することができます。
昔から秩序を「理」として受け入れてきました。
秩序は区別と関係として表現され、実現します。
秩序は区別と関係の持続、保存です。
区別と関係が曖昧になり、失われることが秩序の否定である混沌化です。
秩序の区別と関係は対称性を表現します。
対称性は区別と関係を表現します。
対称性は同一性と差異性を表現します。
対称性は他との関係では変化しながら、自己同一性を保存します。
他に対する関係変化と自己同一性の保存として区別を表現します。
秩序は消滅しながら生成されます。
秩序の消滅と生成は双対しません。
秩序の消滅と生成によって存在は構造化し、階層化します。
秩序が崩れ、失われ、混沌化するのも秩序です。
秩序の自己否定であり、秩序の存在矛盾です。
秩序を維持、保存するにも秩序を解体して取り込まなければ成りません。
2025.02.13