空間の表現ではメビウスの輪があります。
メビウスの輪は表の面を辿ると一回転で裏になり、さらに一回転すると元の表に戻ります。
論理には集合の集合があります。
集合を要素とする集合があります。
再帰は「措定−否定−肯定」の弁証法過程です。
一般に弁証法過程は「肯定−否定−肯定」と表現されますが、頭初の対象「肯定」は他との相互規定がない表現ですから「措定」が適切でしょう。
未規定である対象表現をまず措定し、対象間の相互関係に他からの否定で規定され、対象として肯定されます。
再帰は自己言及による矛盾を生じえます。
当初の措定が否定されることで肯定には矛盾を孕む可能性が生じます。
背理法は否定を仮定し、その仮定の上では矛盾が生じることで否定を否定して肯定を導きます。
再帰により反省します。
反省は主観が自らを対象の内に位置づけ、対象間の相互関係に自らを捉え直します。
反省は単に誤りを認めることではなく、客観的相互関係の内に自らを振り返ることです。
反省は主観の客観化ですが、意識である主観は意識でなくなることはできません。
意識である主観は客観しても意識であることに変わりはありません。
反省は再帰して自らを主客に二重化します。
主観を客観化しても、客観は主観の内にあります。
主観は意識の表現であり、主観の客観化も意識の表現であることに変わりはありません。
相互関係は互いを対象とする関係ですが、再帰はその対象間の相互関係を対象にする関係です。
対象間の相互関係の次元を超えて、相互関係を対象にする次元を構築、設定します。
相互作用の再帰構造ですから一方的な規定関係ではありません。
積み木の上下関係では地球の重力が一方的に作用し、地上に複数の積み木が組み合わせどうりに積み上がって崩れません。
再帰構造は相互作用の構造化であり、再帰により基礎は上部からの作用を受け変質します。
再帰によって発展、創造が実現します。
再帰しない一方的否定では何も産まれません。
仮想の対象を否定しても出てくるのは夢想、幻想です。
措定が現実を踏まえていてこそ否定が有効に働き、新たな対象が肯定されます。
2023.11.21